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  3. 【保存版】コーヒーが酸っぱい!原因と40代からのプロ級調整術

休日の朝、あるいは仕事終わりの至福のひととき。 お気に入りのミルで豆を挽き、お湯を沸かし、ゆっくりとハンドドリップする。部屋中に広がる香ばしいアロマ。

「さて、今日の一杯はどんな出来栄えかな」と口に含んだ瞬間……。

「……す、すっぱい!!」

期待していたようなコクや甘みではなく、舌を刺すような鋭い酸味。正直、ちょっとガッカリしてしまいますよね。 「豆が悪かったのかな?」「いや、淹れ方が下手なのか?」なんて、シンクに流してしまう前に、ちょっと待ってください。

実はその「酸っぱさ」、ほんの少しの調整で劇的に改善できるんです。

コーヒーは化学であり、料理です。特に40代、50代と年齢を重ね、自分の時間を大切にする世代にとって、コーヒーは単なる飲み物ではなく「探求する楽しみ」そのもの。

今回は、自分で豆から挽くあなたのために、コーヒーが酸っぱくなる原因と、誰でも実践できる具体的な調整法を徹底的に解説します。これを読めば、明日の朝からあなたのコーヒーは「お店の味」に変わりますよ。

そもそも、その「酸味」は悪者なのか?

まず最初に整理しておきたいのが、コーヒーにおける「酸味(Acidity)」の正体です。

コーヒー豆は、元を正せば「コーヒーノキ」という植物の果実(コーヒーチェリー)の種子です。つまり、コーヒーはフルーツなんですね。ですから、本来コーヒーにはフルーツ由来の良質な酸味が含まれています。

  • 良い酸味:オレンジやベリーのような爽やかさ、明るさ、フルーティーな風味。

  • 悪い酸味:レモンをかじったような刺激、酢のようなツンとする味、後味に残る不快な酸っぱさ。

今回問題にするのは、後者の「飲みづらい、突き刺すような酸味」です。

もし、あなたが淹れたコーヒーが「嫌な酸っぱさ」を感じるなら、それは豆のせいだけではありません。多くの場合、「未抽出(アンダーエクストラクション)」という現象が起きている可能性が高いのです。

ここからは、その原因を要素分解して、一つずつ潰していきましょう。まるでパズルのピースを合わせるような作業、これがまた面白いんですよ。

調整のカギを握る「3つの黄金比率」

コーヒーの味が決まる要素は無数にありますが、酸味をコントロールするために絶対にいじってはいけない(いや、いじるべき)3つの要素があります。それが「挽き目(メッシュ)」「湯温」「抽出時間」です。

1. 挽き目(メッシュ):その粒度、粗すぎませんか?

自分で豆を挽く派のあなたなら、ミルのダイヤル調整はお手のものですよね。 もし「酸っぱい」と感じるなら、まず疑うべきは「粒度が粗すぎる」ことです。

コーヒーの成分はお湯に溶け出しますが、最初に「酸味」が出て、次に「甘み」、最後に「苦味・コク」が出てくるという性質があります。 粒が粗いと、お湯がスルスルと粒の間を通り抜けてしまい、酸味が出た段階で抽出が終わってしまうのです。つまり、甘みやコクが出る前にドリップ完了!となってしまっている状態。これがいわゆる「未抽出」です。

【対策】

  • いつもより「1メモリ」細かく挽いてみる。

たったこれだけです。粒を細かくすることで表面積が増え、お湯との接触時間が長くなります。結果、酸味の奥にある甘みやコクがしっかり抽出され、味のバランスが取れて酸味がマイルドになります。

※注意点: 逆に細かくしすぎると、今度は雑味や渋みが出てしまいます。「半メモリ〜1メモリずつ」動かすのが、大人の嗜みというものです。一気に変えると迷子になりますからね(笑)。

2. お湯の温度:ぬるま湯になっていませんか?

「コーヒーは沸騰したお湯を使ってはいけない」 これは定説ですが、これを意識しすぎて温度を下げすぎている人が意外と多いんです。

お湯の温度が低いと、コーヒーの成分(特に苦味やコクの成分)が溶け出しにくくなります。結果として、溶け出しやすい「酸味」ばかりが際立った味になってしまうのです。 一般的に、浅煎りの豆ほど組織が硬く成分が出にくいので、高い温度が必要です。

【対策】

  • 温度を「2〜3℃」上げてみる。

もし今、85℃くらいで淹れているなら、思い切って90℃〜92℃くらいまで上げてみてください。 高温のお湯は、豆の成分をガツンと引き出します。酸味が抑えられ、苦味とコクが前面に出てくるはずです。

  • 温度計がない場合: 沸騰してボコボコがおさまったら、すぐにドリップポットに移して淹れ始めるくらいでOKです。「少し熱いかな?」くらいが、酸味対策には効きます。

3. 抽出時間:お湯を落とすのが早すぎませんか?

ハンドドリップの醍醐味は、自分でお湯の太さをコントロールできること。 しかし、ササッとお湯を注ぎすぎていませんか?

お湯が豆に触れている時間が短いと、これまた「酸味」だけを拾って抽出が終わってしまいます。じっくりと豆とお湯を仲良くさせてあげないと、コクという深い味わいは出てきてくれません。

【対策】

  • ゆっくり注いで、抽出時間を伸ばす。

例えば、いつも2分で淹れ終わっているなら、2分30秒〜3分を目指してみてください。 お湯を細く、ゆっくり乗せるように注ぐ。この「焦ら(じら)し」の時間が、酸味の角を取り、まろやかさを生み出します。

意外な落とし穴!「豆選び」と「保存」を見直す

テクニックで調整しても「まだ酸っぱい!」という場合、そもそも選んでいる豆や、豆の状態に原因があるかもしれません。ここは少し、残酷な現実と向き合う必要があります。

流行りの「サードウェーブ系」は酸っぱい?

最近のコーヒーショップ、特におしゃれなロースタリーに行くと「浅煎り(ライトロースト)」が主流ですよね。豆本来のフルーティーさを味わうトレンドですが、これは正直、酸味が強いです。 「スペシャリティコーヒーだから美味しいはずだ」と思い込んで買ってはみたものの、口に合わなかった……という経験、私もあります。

40代〜50代の我々世代は、昔ながらの喫茶店で飲むような、どっしりとした深みのあるコーヒーに親しんできた方も多いはず。 無理にトレンドに合わせる必要はありません。

【対策】

  • 「深煎り(フレンチロースト・イタリアンロースト)」を選ぶ。 焙煎は深くなればなるほど酸味が消え、苦味が強くなります。「中深煎り(シティロースト・フルシティロースト)」あたりが、酸味と苦味のバランスが良く、最も失敗が少ないゾーンです。

  • 産地を変えてみる。 キリマンジャロ(タンザニア)やモカ(エチオピア)は、特徴として酸味が強い傾向にあります。 酸味が苦手なら、マンデリン(インドネシア)やブラジルを選んでみてください。酸味が控えめで、ナッツやチョコのようなコクを楽しめますよ。

豆の鮮度と「蒸らし」の関係

古い豆は酸化しています。「酸化した酸っぱさ」は、どんなに淹れ方を工夫しても美味しくなりません。これはもう、諦めて新しい豆を買いましょう。

そして、新鮮な豆を使うなら絶対に外せないのが「蒸らし」です。 最初にお湯を少し注ぎ、30秒ほど待つあれです。 この「蒸らし」が不十分だと、豆の中にガスが残り、お湯が浸透せず「水っぽいのに酸っぱい」という最悪の結果を招きます。

【対策】

  • しっかり30秒、豆を膨らませる。

この時間は、美味しいコーヒーエキスを呼び起こすための儀式です。焦らず、じっと待つ。この余裕が味に出ます。

古くなった豆の「酸化」による劣化の可能性もあります

これこそ最初に確認すべきかもしれませんが、「豆の保存状態」やそもそもの賞味期限の確認が重要です。

スペシャルティコーヒーなどでは、焙煎日が記載されているものもあります。豆のままよりも粉にした後のほうが酸化が進みやすいですので、なるべく早く飲みましょう。

スペシャルティコーヒーは、焙煎日から1か月以内に飲むくらいがちょうどいいです。

コーヒー豆には油分が含まれています。この油分が空気中の酸素に触れ続けると、天ぷら油が古くなるのと同じように「酸化」が進みます。 実はこの酸化した豆こそが、不快な酸っぱさの大きな原因になっていることが多いのです。

  • 本来の酸味: フルーツのような爽やかさ、キレがある。

  • 酸化した酸味: 舌にへばりつくようなエグみ、喉にイガイガが残る、鼻につく古びた臭い。

もし、封を開けてから常温で1ヶ月以上経過している豆や、密閉せずに放置していた豆を使っているなら、どれだけお湯の温度を調整しても、その「嫌な酸っぱさ」は消えません。それは抽出の失敗ではなく、豆の寿命です。

【対策】

  • 「もったいない」を捨てる。 酸化した豆を美味しく飲む方法はありません。潔く新しい豆に買い替えましょう。それが美味しいコーヒーへの近道です。

  • 保存は「密閉」&「冷暗所」。 豆を買ってきたら、空気に触れないよう密閉容器(キャニスター)に移し替えます。2週間~1か月程度で飲みきれない場合は、ジップロック等に入れて「冷凍保存」するのがおすすめです。これだけで、酸化のスピードを劇的に遅らせることができます。

プロもやっている「裏技」的調整法

ここからは、ちょっとマニアックな、でも効果絶大な調整テクニックをご紹介します。

「バイパス」で濃度をいじる

抽出されたコーヒーが「濃くて酸っぱい」と感じる場合、単純に濃度が高すぎる(過抽出気味で酸味を強く感じている)ことがあります。 そんな時は、抽出後のコーヒーにお湯を少し足してみてください。

「え、お湯で割るの?」と思うかもしれませんが、これは「バイパス」と呼ばれる立派なテクニック。アメリカンコーヒーを作る要領ですが、酸味の角が取れて、驚くほど飲みやすくなります。

抽出後半を「捨てる」か「入れない」か

実は、ハンドドリップの前半で「美味しい成分」の大部分は出切っています。 後半になればなるほど、雑味やエグみ、そして嫌な酸味が出やすくなります。

もし、いつも最後までキッチリお湯を落としきっているなら、「予定の量になる少し手前でドリッパーを外す」というのを試してみてください。 足りない分はお湯を足せばいいんです。これだけで、驚くほどクリアで、酸味の少ないコーヒーになります。

それでもダメなら…「水」を変えてみる

ここまでやってダメなら、犯人は「水」かもしれません。 日本の水道水は「軟水」なのでコーヒーに適していますが、地域によってはカルキ臭や硬度の違いが影響します。

  • 軟水:酸味が出やすく、まろやかになる。

  • 硬水:苦味が出やすく、キレが出る。

もし「どうしても酸味が気になる」という場合、市販のミネラルウォーター(少し硬度があるもの)を試してみるのも面白い実験です。エビアン(硬水)で淹れると、いつもの豆が全く違う表情を見せますよ。これぞ、大人の自由研究です。

まとめ:正解は「あなたの舌」だけが知っている

長々と語ってきましたが、コーヒーの調整法をまとめると以下のようになります。

【酸味が強い時のチェックリスト】

  1. 挽き目:粗すぎるかも? → 細くする

  2. 湯温:低すぎるかも? → 高くする(90℃以上)

  3. 速度:早すぎるかも? → ゆっくり淹れる

  4. :浅煎りかも? → 深煎り・マンデリン等に変える

コーヒーの面白いところは、これらの要素が複雑に絡み合っていることです。 「今日は少し挽き目を細かくしてみよう」「明日は温度を上げてみよう」 そんな風に、毎日少しずつ条件を変えて、味の変化を楽しむ。これこそが、自分で豆を挽く人間の特権ではないでしょうか。

失敗したっていいんです。 「うわ、今日は酸っぱすぎた!」と苦笑いしながら飲む一杯も、コンビニで買う画一的なコーヒーより、ずっと愛おしい味がするはずですから。

さあ、理屈はこれくらいにして。 明日の朝は、いつもより少しだけ熱めのお湯で、少しだけゆっくりとドリップしてみませんか? あなた好みの「究極の一杯」に出会えることを願っています。

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焙煎したてのスペシャルティコーヒーを豆のままやドリップバックなど